No emotion

闇と厳冬

後遺症は、

 

私は、祖母に虐待にされて育った。

身体的に、精神的に追い詰められた私は、

幼少期の記憶が皆無で、自分自身で記憶を消した。

 

祖母は大変に、世間体を気にする性格で

後遺症で身体的に麻痺が残った私を、

治ると思い込み、小学生になる前に治さなければ

いけない焦りを駈られていた。

療法士さんの前で私をぶった事もあった。

けれども、“私の麻痺が治らないもの”と宣告されてからは

リハビリも諦め、私を集中的に虐待していった。

一家の大黒柱として働き詰めだった

母がそれに気付いた時は、

なにかも遅すぎた。

 

私は

何を言われた事か、何も覚えていなかった。

 

 

大人になってから

ただ私は祖母と同じ同年代の方を見たり、

話を聞くと話を聞いたりすると、無性に心が締め付けられる。

苦しい、苦しい。でも、私の叫びは届かない。

 

母はある方からスカウトされ

老人ホームの看護師として働き始めた。

知らず知らずとも母が言葉にする、老人ホームの出来事。

しかし私にとって、毒薬の塗ったナイフでしかない。

 

忘れたい記憶を抉るナイフ。

やめて、と言って『もう言わない』というのは

一時でまた繰り返し話し始める。。。

止めて、という叫びは届かない。

このループが私を過去に引き戻して、

心を苦しめる。